ペアリング
先月、気付いたの。
遺影の写真。
泣いている私を笑わせようと満面の笑みを、私のカメラに向けた表情。
その右薬指に、ペアリングをしていること。
泣いた。
いつも、たくさんのお供え物で隠れていたから気付かなかった。
それから、私も、ペアリングをしているよ。
お互いに、カラオケで、指輪交換をした、ドキドキの気持ち、ずっと覚えているよ。
1人の時も寂しくないように。
必死に薬指の指輪を握りしめながら、自習室で勉強していた浪人時代のことも覚えてる。
今も、大学院で、指輪をはめながら、机に向かうの。
学会に出るの。
1人じゃない、って、思える。
落ち着く。
いいよね?
ズルイけれど…
私は、そうしていたい。
ときには、寝ているときすら。
指輪をはめているときだけは、穏やかにいられるから。
大事にする。
どんなに高価な指輪より、ずっと、ずっと、嬉しさと幸せがいっぱい詰まった大切な指輪。
最高のプレゼントだよ。
今も。
変わらないから。