なんで
裕也、
帰り道、ふと、免許を取ったときのことを思い出したの。
県内の事故件数…
なんで、こんな統計を見せられなきゃいけないんだろう、って。
裕也の時じゃないよね、
って。
どうして裕也が事故に遭わなければならなかっんだろう。
よりによって。
他の人でもいいじゃん。
裕也に比べものにならないくらいいい加減に生きている人、たくさんいるじゃない。
人が事故にあって、
補償が
お金で換算されて、
その人の価値が決まるような、
そういう仕組み、大嫌い。
そんなこと考えるほど苦しい。
けれど、1つ1つちゃんと言葉にして、消化していかなきゃいけないんだよね、きっと。
裁判のことも。
お母さんたち、負けて悔しがっていたよね。
無罪
ってなんだろうね。
有罪
だったとしても、
何も満たされない。
時間を巻き戻したい。
寒い冬に手袋に一緒に手を入れていたね。